アドラー心理学を名言から詳しく解説(日本語&英語)

alfred-adler学者・発明家の名言

日本では心理学者として有名なのはフロイトとユングですが、世界的には三大巨頭のひとりとしてアルフレッド・アドラーの名も必ず挙がってきます。

アルフレッド・アドラーはオーストリアの精神科医&心理学者です。フロイトと同年代の人で、フロイトに招かれ、ウィーン精神分析協会の中核メンバーとして活躍した時期もありました。

その後、学説上の対立から、アドラーは1911年にフロイトと決別。翌年、独自の理論に基づく「個人心理学」(または「アドラー心理学」)を提唱しました。

今回は、『嫌われる勇気』などで知られ、時代を一世紀先駆けしているといわれるアドラーの言葉から、その中心となる考え方を表わす名言を採り上げて、詳しく説明します。人間関係・トラウマ・劣等感・ライフスタイルなどについての名言を採り上げます。

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アドラー心理学とは

フロイトは人間の心を「意識・無意識・全意識」の3つに分割して考えていましたが、アドラーは「個人とは分割できない存在である」と考え、「個人心理学 (Individual Psychology)」を提唱しました。日本では「社会心理学」との対比として受け取れられることを避けるために、「アドラー心理学」と呼ばれています。

フロイトは過去に焦点を置き、「人間は、過去の経験が原因となって今の行動が規定される」と考えました。

これに対してアドラーは、今と未来に焦点を置き、トラウマを否定し、性格は変えられると主張しました。

問題の原因を指摘しても、勇気を奪うだけ。 解決法と可能性に集中すべきだ。
―― アドラー心理学

If you point out the cause of problem, you just take away the courage, we should forcus on solutions and possibilities.

これからどうなるのか。何に取り組んだらいいのか。ゴールはどこにあって、今どう行動したらいいのか。こうした問題に答えようとしました。

「アドラー心理学」は人間を理解し、勇気を与えてくれます。それによって人は新たな目標を設定し、行動を変えることができ、生きるのが楽になるのです。

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アドラー心理学の名言

Individual Psychology Quotes

アドラー心理学では、幸福の理由も、不幸の理由も、対人関係であるとしています。

人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである。悩みを消し去るには、宇宙のなかにただひとりで生きるしかない。
―― アドラー心理学

All problems are interpersonal relationship problems. To get rid of your problems, all you can do is live in the universe all alone.

アドラーは、人生の課題は「仕事」「交友」「愛」の3つであり、すべて対人関係上の課題であると考えました。人とどう関わり、つきあうかが最も大きく難しい課題だけれども、これらに勇気を持って取り組むことで人は成長できるといいます。

また、人と人との結びつきを「共同体感覚」と呼び、他の人のことを「敵」ではなく「仲間」とみなすことで、人と人とは協力することができるとしています。人と人とが協力し、足りないものを補い合うことで、人は自分の限界を超えていくことも可能になります。

 

あなたの心に従いなさい。でも脳みそも連れていきなさい。
―― アドラー心理学

Follow your heart but take your brain with you.

まず心で行き先を決めましょう。自分の夢や目標に向かって、進みたいと思うほうへ進めばいい。でも夢をかなえるためには、心の赴くままというのではなく、頭で考えてできることもプラスしましょう、ということです。

計画を立てて、なるべくそれに沿って進む。うまくいかなければ別の計画を立てる。小さな失敗があっても勇気を持って検証し、やり方を修正する。
このような手順も踏みながら、夢に向かって進んでいきましょう。

 

人間であるということは、劣等感を持つということである。
―― アドラー心理学

To be human means to feel inferior.

健全な劣等感とは、他者との比較のなかで生まれるのではなく、『理想の自分』との比較から生まれるものです。
―― アドラー心理学

What healthy inferiority would look like is that you compare yourself to your ideal self and not to others.

アドラーは「誰でも劣等感を持っている。劣等感は健康で正常なもの」ととらえています。

人は誰でもなんらかの理想を掲げて向上したいと思って前進しています。その理想に到達できていないことについて、まるで劣っているかのような感覚を抱くのは自然なこと。

これは健全な劣等感だといいます。客観的な判断ではなくて、主観的な感情です。誰もが何かについて劣等感を抱いています。美人なのに自分はここが醜いと言ったり、頭がいいのに試験で失敗することを恐れたりということがあります。

健全な劣等感は、努力し成長するための刺激であり、正しく使えば良い刺激剤となります。

人はそれぞれ目標が違うのですから、自分を他者と比べるのではなく、理想の自分と比べて、どうすればそこへ行きつけるかを考えて努力をするなら、劣等感はむしろ望ましいものです。

誰とも競争することなく、ただ前を向いて歩いていけばいいのです。

 

また、フロイトは過去に心に負った傷(トラウマ)が現在の不幸を引き起こしていると考えましたが、アドラーはトラウマを明確に否定しました。

状況によって意味が決まるのではない、その状況に我々がどのような意味を与えるかによって意味が決まるのだ。
―― アドラー心理学

Meanings are not determined by situations, but we determine ourselves by the meanings we give to situations.

前に採り上げたシェイクスピアの名言とよく似ています。

物事に良いも悪いもない。考え方によって良くも悪くもなる。
―― ウィリアム・シェイクスピア(イギリスの劇作家、詩人、代表作『ロミオとジュリエット』『ハムレット』『オセロー』『リア王』『マクベス』)
(出典:『ハムレット』第二幕第二場)

There is nothing either good or bad, but thinking makes it so.
―― William Shakespeare

目の前にある状況は、ただの材料であって、それをどう捉えてどう活かすかは、自分の考え方次第になります。

たとえば、子どもの頃に両親が離婚したとしても、

「だから幸せな子ども時代を過ごせなかった。結婚に夢を持てない。どうせ自分は結婚はできない」と考えるか、

「両親にはできなかったけど、自分は幸せな結婚をしてみせる。子ども時代の分も取り返す」と考えるかで、行動も違ってきます。

人は与えられた環境や過去によって行動を決められるのではなく、自分の意志の力によって行動を選択していく自由があるということです。

同じような主張をしているものに、ロゴセラピー(意味中心療法)という心理療法があります。人が自分の「人生の意味」を見出すのを援助することで心の病を癒すものです(創始者は神経科医で心理学者のヴィクトール・フランクル)。

ロゴセラピーでも、「人間は様々な条件・状況の中で、自らの意志で態度を決める自由を持っている」という、「意志の自由」を提唱しています。

 

アドラー心理学の特徴のひとつに、「ライフスタイル」という概念を用いていることが挙げられます。「ライフスタイル」は「思考や行動の傾向」であり、人が自分の目標を追求する方法、目標へ到達する方法です。

勇敢に、着実に、ためらいがちに、行きつ戻りつして、途中で止まって向きを変えながら、追及するのをやめる言い訳を考えながら――目標へ到達するためのスタイルであり、生き方のスタイルです。

ライフスタイルは遺伝と環境によって10歳までに自分で選びとるとアドラーは言います。

作曲家が曲を作るスタイルは、10歳のときも、大人になってからも、基本的にはいつも同じであるのと同様に、生き方のスタイルも通常、変わることはありません。

ただし、成長して環境が変わり、そのライフスタイルで苦しくなってしまった場合には、選び直すことができるとされています。自分で選んだものだからです。

「こんな自分はいやだ」と思いながらも、今までと同じスタイルで、予測のつく毎日、安心や趣味の時間のある毎日を過ごすのか――

それとも勇気を持ち、不安に耐えてライフスタイルを変え、自分を好きになるか――

もし、変えたくても変えられないという場合には、ライフスタイルを選び直す勇気を持ってもらうために、アドラー心理学は「勇気づけ」というアプローチをします。「勇気づけ」とは、困難を克服するための内なる活力のことです。これによって、自分の目的や行動が変わり、新しいライフスタイルを選び直すことができるのです。

ライフスタイルは簡単に変えられるものではありません。それでも誤った意識や行動のために苦しんでいるのであれば、新しい一歩を踏み出す勇気を、アドラー心理学は与えてくれます。

 

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