内閣府の国民生活に関する世論調査では、働く目的は多いものから、
「お金を得るため」、「生きがいを得るため」、「社会人として務めを果たすため」、「能力を発揮するため」
という結果になりました。
働く理由は一つではないとか、選択肢に当てはまらないという方もあったとは思いますが、最も多い回答は「お金を得るため」でした。
働く理由は人それぞれですが、それが「お金を得るため」のみである場合、収入が減った場合に働くのがつまらなくなったり、辛くなったりということも出てきます。
また、心の安定を支える柱は複数あったほうがいいという心理学的な観点からも、働く理由は複数あったほうがいいとも言えます。
今回は、働く理由についてのまとめと、何のために働くのかについての名言をご紹介します。
お金のために働く人の割合は?
内閣府の国民生活に関する世論調査(令和元年度)で、働く目的について尋ねた結果は以下のようになりました。
「お金を得るために働く」 56.4%
「生きがいをみつけるために働く」 17.0%
「社会の一員として、務めを果たすために働く」 14.5%
「自分の才能や能力を発揮するために働く」 7.9%
半数以上の人が、お金のためと答えていますが、年齢の高い層ほど、「生きがいをみつけるために働く」の割合が高くなっています。
若年層(16~29歳)に限った調査(平成30年版子供・若者白書)では、仕事をする目的(2つまで回答)は、次のようになっています。
「収入を得るため」 84.6%
「仕事を通して達成感や生きがいを得るため」 15.8%
「自分の能力を発揮するため」 15.7%
「働くのがあたりまえだから」 14.8%
「人の役に立つため」 13.6%
働くことによって生きがいを得るということ
上記の調査結果を見ていると、「お金のため」の次に多い、「生きがいを得る」ということが、働く幸せに関係してきそうです。
『ナショナル・ジオグラフィック』誌の記者ダン・ビュイトナーが、世界の長寿地域で徹底的な調査研究をおこなった際、日本・沖縄の長寿の理由の1つとして「生き甲斐」(ikigai)を挙げました。
「生き甲斐」という語は、他の言語には相当する語がありません。「生きることの喜び・生きる価値」などと訳され、下のような図を使って説明されることの多い語です。
“ikigai”©Nimbosa (Licensed under CC BY 4.0)
和訳してみます。
外側の4項目(好きで、得意で、お金になり、需要があること)すべてがそろったときに生き甲斐を感じられるが、どれか一つが欠けても、満足感は得られない、と分析されています。
「好き」が欠けると、心地良いが空虚に感じる。
「得意」が欠けると、高揚と満足感があるが、これで良いという確信が持てない。
「お金」が欠けると、喜びと充実感はあるが、経済的に豊かとはいえない。
「需要」が欠けると、満足感はあるが、どこか無益な感じがする。
2010年のダン・ビュイトナーの著作 “The Blue Zones” 『ブルーゾーン』 により、海外にも ikigai という語が広まり、日本発の「長く楽しく生きるための人生哲学」として広く知られるようになりました。
(ブルーゾーンとは、健康で長生きする人が数多く集まる特異な地域のこと。ダン・ビュイトナーのドキュメント 『ブルーゾーン』 は、健康と長寿のためのバイブルとなっています。)
「働き甲斐」を考えるときにも、「働くことを通して、生き甲斐を感じるには」と考えると、満足感を得やすいように思います。
仕事を探している人は、自分が好きなこと、得意なことを改めて挙げてみて、上図の外側4項目がそろうような仕事を選ぶようにすると、少しくらい状況が変わっても、それに対応して働いていくことができます。
現在働いている人は、4項目のうち欠けているものを勉強してできるようにする(今すぐできなくても、それに向かって前進しているだけでもOK)、部署を移動させてもらう、転職する、仕事以外で得られるようにする、などの方法で補うことができます。
自分の好きなこと・自分の得意なことのできる職に就くのは難しそうだと思っても、あきらめずに探し続けると、自分の強みを生かし、楽しく働ける環境に身を置くことができます。
生き甲斐を感じられるようなことなら、上記の調査にあった、他の「働く目的」も達成することができます。自分の能力を発揮し、達成感を得て、世界の求めに応じ、人の役に立つことは、生き甲斐を得ることに含まれているのですから。
働き甲斐を得るには
他にも、働くことの価値というものはあります。
新しいものを創り出す、美しいものを創り出す、自分が成長できる、自分の望む生活ができる、社会に認めてもらう、多くの人と接する、良い環境に身を置く、などです。
これらを自分にとって重要だと思える順に並び変え、重要なことほど優先的に得られるように考えていくと、働き甲斐を得やすくなります。
働き始めてから時間をかけて徐々に得られることもありますから、これを続けていけば手に入るんだと毎日、意識することでも、働き甲斐を感じられます。
何のために働くのかについての名言
Quotes to Find More Purpose in Your Work
何のために働くのか、どんなふうに働いたら満足感を得られるのかについての名言をご紹介します。
私は金のために、この世界に入った。芸はあとからついてきたものさ。こんな話を聞かされるとガッカリするかもしれないが、仕方がない。ほんとなんだから。
―― チャールズ・チャップリン(イギリスの俳優、映画監督、コメディアン、脚本家)
I went into the business for the money, and the art grew out of it. If people are disillusioned by that remark, I can’t help it. It’s the truth.
―― Charles Chaplin
最初はお金のためというのは仕方のないことかもしれませんが、そこから出発して演技や脚本、撮影技術を磨いていったことで、チャップリンは世界に認められるまでになりました。自ら主演と監督をこなし、思い通りのシーンが撮れるまで何度でもやり直したといいます。
正確な情報は、動機をつくり出す重要な要素である。
―― メアリー・A・アリソン(シティコープ副社長)
Accurate information is a key part of motivation.
―― Mary A. Allison
動機は大抵の場合、単なる才能より強い。
―― ノーマン・R・オーガスティン(マーティン・マリエッタCEO)
Motivation will almost beat mere talent.
―― Norman R. Augustine
大抵のアメリカ人は、もっとお金が欲しいと言う。だが、それ以上に有効な動機はカネで買えない報奨のようである。
―― ジェリー・マッカダムズ(マリツ・インフォメーション・リソーシズ副社長)
Most American say they want more money. Yet non-cash awards to be more effective motivations.
―― Jerry McAdams
お金は働く動機となる。ただし、短期間、それが価値や権力や勝利のシンボルとなる間だけだ。
―― ジェームズ・L・ヘイズ(アメリカン・マネジメント・アソシエーションCEO)
Money does motivate…but only for a short time and only as long as it serves as a measure of worth or of power or of victory.
―― James L. Hayes
私たちは賃金が主たる動機だとは考えていない。真の動機は各自が会社に貢献していると感じることである。
―― ラッセル・クローム(GM 工場主任)
We don’t feel that wages are the primary motivator. The real motivation is when the worker feels he’s making a contribution.
―― Russell Culomb
誰もが気づくことだが、自分のしていることを楽しんでいる人間や、していることに意義を見出している人間が引き出す大きなエネルギーには驚くべきものがある。
―― チャールズ・ガーフィールド(パフォーマンス・サイエンス社長)
Everyone has noted the astonishing sources of energy that seem available to those who enjoy what they are doing or find meaning in what they are doing.
―― Charles Garfield
お金がないのだから、頭を使わなくては。
―― アーネスト・ラザフォード(イギリスの物理学者、ノーベル化学賞受賞)
We haven’t the money, so we’ve got to think.
―― Ernest Rutherford
一日しっかり働き、まわりを取り巻く霧に光明を投じ、自分の中から幸せを引き出そう。
―― ヘンリー・マチス(フランスの画家)
Derive happiness in oneself from a good day’s work, from illuminating the fog that surrounds us.
―― Henri Matisse
泡を食ったり、おびえたり、うまくやろうと無理をしたりしないこと。アイデアが浮かぶまで気楽に待つことだ。
―― ジョン・ヒューストン(アメリカの映画監督、脚本家)
Be careful not to spook, get the wind up, force things into position. You must wait around until the idea comes.
―― John Huston
人々が機嫌よく働くためには次の三つが必要だ。その仕事に向いていること、働きすぎないこと、そして、やればうまくいくと感じていることだ。
―― ジョン・ラスキン(イギリスの美術評論家、社会思想家)
In order that people be happy in their work, these three things are needed: They must be fit for it: They must not do too much of it: And they must have a sense of success in it.
―― John Ruskin
どんなに嫌気がさしても、今の職は、もっといい仕事が見つかるまで離してはいけない。未来の雇い主は、職に就いていた者を雇いたがるものだ。
―― ロン・バーマン
If you have a job now, keep it until you find a better one – even if it’s driving you crazy. Potential employers are much more likely to hire someone who’s already working.
―― Ron Berman