カナダ出身の英文学者、マーシャル・マクルーハンの名言「宇宙船地球号には乗客はいない。我々はすべてクルーである。」を英語原文・英単語帳とともにご紹介します。
名言「宇宙船地球号には乗客はいない。我々はすべてクルーである。」の英語原文
宇宙船地球号には乗客はいない。我々はすべてクルーである。
―― マーシャル・マクルーハン(カナダ出身の英文学者、文明批評家、マスメディアの分析で知られる)
There are no passengers on spaceship earth. We are all crew.
―― Marshall McLuhan
単語 | 発音記号 | 品詞 | 意味 |
passenger | ṕæs(ə)ndʒə(r) | 名詞 | 乗客 |
spaceship | spéɪsʃìp | 名詞 | 宇宙船 |
crew | krúː | 名詞 | クルー、乗組員 |
Marshall | mάːrʃl | 名詞 | マーシャル |
McLuhan | məklúːən | 名詞 | マクルーハン |
宇宙船地球号
「宇宙船地球号」という言葉を、どこかで耳にしたことはありませんか?
この言葉が有名になったのは、1963年に『宇宙船地球号操縦マニュアル』という本が、アメリカの建築家・思想家であるバックミンスター・フラー(Buckminster Fuller)によって書かれてからです。
彼は、現在の専門分化された限定的な教育や世界のシステムでは、地球全体を襲う問題は解決できないことを論じ、地球と人類が生き残るためには、これらのシステムを組み直すべきだとしました。
たとえば化石燃料については、「宇宙船地球号」の上に数十億年かかって保存された有限なエネルギー貯金を、短期間に大量消費し続けるのをやめて、自動発進(セルフ・スターター)機能を作動させるときだけに使うべきだと言っています。
風力や水力、太陽など、地球外から得られるエネルギーだけで社会や経済は維持できる。化石資源は自動車で言えばバッテリーのようなものであり、メイン・エンジン(=地球外から得られるエネルギー)のセルフ・スターターを始動させるために蓄えておかねばならないと主張しました。
フラーの考えは、のちにもっと広い分野で、世界中で議論され、取り組まれることになります。
持続可能な社会
持続可能な社会とは、「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発が行われた社会」です。1987年に、ブルントラント・ノルウェー首相(当時)が公表した報告書が取り上げた概念。地球環境保全と開発を共存し得るものと捉え、地球環境を考慮した節度ある開発が重要であるという考えです。
地球温暖化、資源不足、生物の大量絶滅など、地球上で起きている問題を解決しながら、開発を進めなければなりません。
SDGs
そして2015年には国連総会でSDGsが採択されました。SDGs(エスディージーズ、Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)は、2030年までに持続可能な社会を目指すために定められた国際目標で、「我々の世界を変革する 持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書の一部です。
17の目標と169のターゲットから構成され、参加するすべての国の人々が対象です。
目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」や、目標13「気候変動に具体的な対策を」など、政府だけではなく、民間企業、個人でも取り組まれています。
個人のレベルでも、たとえば買い物やカフェの利用時にマイバッグやマイボトルを持参してプラスチックごみを減らすことで、プラスチックごみの焼却による大気汚染や海洋汚染を減らせます。
水を使うときにこまめに止めたり、エアコンなどの節電に努めたり、物を大切に使ったりということは毎日できます。
こうすることで、最初の「宇宙船地球号には乗客はいない。我々はすべてクルーである。」というマクルーハンの名言にあるように、「地球の貴重な資源を浪費する一方の乗客ではなく、地球と人類が生き残れるよう協力するクルー(乗組員)として生きているのだという自覚」を持てるのではないでしょうか。