いつも心に留めておきたい励ましや戒めの言葉、座右の銘。折に触れて心の中で繰り返したり、書いて目につく場所に貼っている人も多いでしょう。
今回は、座右の銘として使われるポジティブな意味の四字熟語、短い名言、ことわざをご紹介します。努力・強い意志・モチベーション維持の支えとなる、いつも心に留めておきたい目標・教訓・戒めの言葉。名言とことわざには英語原文もつけました。
なりたい自分、気をつけたいこと、古今東西の偉人たちが座右の銘としていた言葉など、候補を集めましたので、参考にしていただければ幸いです。
ぜひ人生の指針となる言葉を見つけてください。あなたの支えとなってくれます。
座右の銘とは
Favorite motto ideas
「座右の銘」を改めて辞書で引いてみると……
常に身近に備えて戒めとする格言。(広辞苑)
常に自分を高めようと心がける人が、折に触れて思い出し、自分のはげまし・戒めとする言葉。(新明解国語辞典)
常日ごろ自分のそばに書き記しておいたり、心に刻みつけたりして、自分が生きていくうえでの戒めとすることば。(学研故事ことわざ辞典)
「座右」は座席の右。転じて、かたわら。
「銘」は自分の戒めとする語句。
いつも心に留めていることで、日々の行動の指針、重大な決断をするときの指針、困ったときにの支えとなってくれます。
自己紹介や自己PR、就転職の面接の際などに自分を理解してもらうのに使うこともできます。
座右の銘にしたいポジティブな四字熟語
四字熟語は一見とっつきが悪いですが、意味を知ると心に強い印象を残します。自己紹介や自己PR、就転職の面接などの際に自分を理解してもらうのにも役立ちます。
不撓不屈(ふとうふくつ)
どんな困難や苦労に対してもひるまず、心がくじけないこと。
「撓」は、木の枝などがたわむ。転じて、くじける。「屈」は、主義主張などをむりに押さえ込む。
出典は『漢書(かんじょ)』叙伝(じょでん)。
強い精神力や、揺るがない決意を表わします。芯の強さが頼りになるイメージ。自分を奮い立たせたり、チームの士気を高めるのに使えます。
捲土重来(けんどちょうらい)
一度戦(いくさ)に敗れた者が、再び勢いを盛り返して、相手方に攻め込むことのたとえ。転じて、一度敗れたり失敗した者が再び巻き返すことのたとえ。
「捲土」は土煙を巻き上げるほど、すさまじい勢いのこと。「重来」は一度去ったものが再びやって来ること。一度静まった土煙が再びまきあがるという意から。
出典は、杜牧(とぼく)の詩「題烏江亭」(烏江亭に題す(うこうていにだいす))。杜牧は晩唐の詩人。
「勝敗は兵家も事期せず。羞を包み恥を忍ぶは是れ男児。江東の子弟、才俊多し。土を巻き重ねて来れば、未だ知るべからず」
(しょうはいはへいかもこときせず。はじをつつみはじをしのぶはこれだんじ。こうとうのしてい、さいしゅんおおし。つちをまきかさねてくれば、いまだしるべからず)
非常な勢いで盛り返す、強い意志を表わします。
堅忍不抜(けんにんふばつ)
どんな困難や誘惑も我慢強く耐え忍んで、心を動かさないこと。
「堅忍」は我慢強く耐え忍ぶこと。「不抜」は固くて抜き取られないことをいう。
一生懸命耐え忍んで初心を変えない、きわめて強い意志を表わします。
出典は蘇軾(そしょく)の「鼂錯論(ちょうそろん)」。
「古の大事を立つる者、唯だ超世の才有るのみならず、亦た必ず堅忍不抜の志有り」
(いにしえのだいじをたつるもの、ただちょうせいのさいあるのみならず、またかならずけんにんふばつのこころざしあり)
初志貫徹(しょしかんてつ)
初めに抱いた望みや志を、最後までくじけず貫いて達成すること。
「初志」は思い立ったときの最初の気持ち・志。「貫徹」はやり通す、貫き通すことをいいます。
至誠一貫(しせいいっかん)
始めから終わりまで誠意を貫き通すこと。
「至誠」はきわめて誠実なこと。また、その心。まごころ。「一貫」は一つの方針・方法・態度で、始めから終わりまでつらぬき通すこと。
出典は『孟子』離婁上。
「至誠にして動かざる者いまだこれあらざるなり」
(しせいにしてうごかざるものいまだこれあらざるなり)
「こちらがこの上もない誠の心を尽くしても、感動しなかったという人にはいまだあったためしがない。誠を尽くせば、人は必ず心動かされる」という意味です。
この言葉は明治維新の精神的指導者である吉田松陰や安倍晋三元首相の座右の銘でもあります。
泰然自若(たいぜんじじゃく)
何事があっても慌てず、ゆったりと落ち着いて平常と変わらないさま。
「泰然」は落ち着いて動じないさま。「自若」は、大事に直面しても、落ち着き、平常心でいるさまをいいます。
明鏡止水(めいきょうしすい)
なんのわだかまりもなく、澄みきって静かな心の状態。
「明鏡」は一点の曇りもない鏡のこと。「止水」は止まっているように見えるほど静かな水。
出典は『荘子(そうじ)』徳充符(とくじゅうふ)。
心の平静を乱すものが何もない、落ち着いた静かな心境をいいます。
確固不抜(かっこふばつ)
意志や精神がしっかりとしていて動じないさま。
「確乎」はしっかりとしたさま。「不抜」は固くて抜き取られないこと。
出典は『易経(えききょう)』乾(けん)。
「確乎として其れ抜くべからざるは潜竜なり」
(かっことしてそれぬくべからざるはせんりゅうなり)
しっかりとした志操をもち、災厄があってもその守る節操を移しかえることができない人物こそ、潜竜というべきである。
意志がしっかりしていて動揺しないことをいいます。
剛毅果断(ごうきかだん)
意志が強く、思い切って物事を行うさま。
「剛毅」は意志が強く物事にくじけないこと。「果断」は思い切って事を行うさま。
行動力と決断力、強い精神力が感じられます。強い意志を持って思い切った決断ができる人のイメージです。
質実剛健(しつじつごうけん)
飾り気がなく真面目で、肉体的にも精神的にも清らかで強くたくましいこと。
「質実」は飾り気がなく、真面目であること。「剛健」は強くたくましく、しっかりしていることをいいます。
万里一空(ばんりいっくう)
目標を見据えて、たゆまぬ努力を続けるさま。
出典は宮本武蔵の「五輪書(ごりんのしょ)」。
「山水三千世界を万里一空に入れ、満点地ともまとめる」
世界は一つの空のもとにあり、ひとつに繋がっている。
転じて「一つの目標を見据えて、たゆまぬ努力を続ける」という意味を表すようになりました。
自分が決めた目標を達成するためにもっと頑張りたいという人、目標や覚悟を伝えたいときに。
精神一到(せいしんいっとう)
精神を集中して事に当たれば、どんなことでも成し遂げられないことはない。
出典は朱子語類
「陽気発処、金石亦透、精神一到、何事不成」
「陽気発する処ところ金石また透とおる、精神一到何事か成らざらん」
(ようきはっするところ、きんせきもまたとおる、せいしんいっとう、なにごとかならざらん)
「力強い陽の気が生じると、固い金属や石でも突き破ってしまう。(同じように人間も)精神を集中すれば、どんなことでもできないことはない」という意味。
精神的に辛いときや夢を諦めそうになったときに思い出したい四字熟語です。
率先垂範(そっせんすいはん)
人に先立って模範を示すこと。
出典:「率先」は『史記(しき)』絳侯世家(こうこうせいか)、「垂範」は『宋書(そうしょ)』謝霊運伝(しゃれいうんでん)論賛。
人がやりたがらないことを率先して行い、人の模範となることを表しています。リーダーや経営者、自ら率先して行動ができるようになりたい人に。
座右の銘にしたいポジティブな名言(日本語と英語)
偉人たちが信条としていた言葉や名言を、座右の銘にしている人も多いですね。覚えやすい短い名言を英語原文つきでご紹介します。
困難の中にこそチャンスはある。
―― アルベルト・アインシュタイン(ドイツ生まれの理論物理学者)
In the middle of difficulty, lies opportunity.
―― Albert Einstein
相対性理論を提唱した天才物理学者、アインシュタインの名言です。
個人も企業も、困難な状況にあるときには焦ってしまいがちですが、困難の中にこそ、大きなチャンスが隠れていることが少なくありません。
低迷するクライスラー社の会長兼CEOとなり、コスト削減と優秀な人材の確保によって再建、伝説の経営者として知られるリー・アイアコッカも、こう言っています。
我々はいつも、まるで解決できない問題のように見せかけた偉大なチャンスに直面している。
―― リー・アイアコッカ(アメリカの自動車製造会社、フォード社の元社長、クライスラー社の元会長。クライスラー社社長就任時、深刻な経営危機に陥っていた同社を2年で立て直し、数十万人のアメリカ人の雇用を守った。この功績により「アメリカ産業界の英雄」と称される。)
We are continually faced by great oppportunities brilliantly disguised as insoluble problems.
―― Lee Iacocca
問題はノックダウンされたか否かではない。起き上がるか否かだ。
―― ヴィンス・ロンバルディ(アメリカンフットボールの指導者、「グリーンベイ・パッカーズ」と「ワシントン・レッドスキンズ」のヘッドコーチを務めた。ヘッドコーチとして通算で105勝35敗6分け)
It’s not whether you get knocked down, it’s whether you get up.
―― Vincent Thomas Lombardi
名将ロンバルディの名言。激しい戦いの中でも、自分がすべきことに集中することの大切さを示しています。
ロンバルディの下でプレイした選手達は彼を深く敬愛し、彼のハードワークと献身を賞賛しました。ロンバルディはスポーツの世界のみならず、誰の人生にも当てはまる名言を数多く残しています。
革新はリーダーと追随者を峻別する。
―― スティーブ・ジョブズ(アメリカの実業家、アップルとピクサー・アニメーション・スタジオの創業者)
Innovation distinguishes between a leader and a follower.
―― Steve Jobs
変化の激しい今日の世界では、革新を生み出せるか否かが、業界の先頭を行くか、それに追随するのかを分けます。
革新(イノベーション)といっても、まったく新しいものを発明しなければならない訳ではありません。イノベーションの源泉である創造力について、こう言っています。
「創造力とは、いろいろなものをつなぐ力だ。一見すると関係ないように見えるさまざまな分野の疑問や課題、アイデアやひらめきを上手につなぎ合わせる力だ」
ジョブズは大学でカリグラフィー(欧文文字を美しく書く術で、日本の書道に当たる)に興味を持って学んでいます。美しくて歴史があり、科学ではとらえようがない微妙な芸術性に惹かれたのです。そして10年後、最初のマッキントッシュコンピュータを設計していたときに、その記憶がよみがえり、マックの設計に組み込みました。
↓ カリグラフィー
こうして字間も字体も美しいフォントを備えた、世界初のコンピュータが生まれました。
あら探しをするより改善策を見つけよ。
―― ヘンリー・フォード(アメリカの実業家、フォード・モーター創設者)
Don’t find fault, find a remedy.
―― Henry Ford
フォード・モーター社の創設者ヘンリー・フォードの名言です。
ヘンリー・フォードは高品質な製品の大量生産に成功し、たった一人で自動車製造業界に革命を起こしました。製品も工場も、改革に次ぐ改革で急成長。どんな事態に遭遇しても、必ずそれを解決するという意気込みが伝わってくる言葉です。
人生とは自分を見つけることではない。 自分を創ることである。
―― ジョージ・バーナード・ショー(アイルランドの作家(ノーベル文学賞受賞)、政治家、教育家)
Life isn’t about finding yourself. Life is about creating yourself.
―― George Bernard Shaw
オードリー・ヘップバーン主演の名作映画「マイ・フェア・レディ」。その原作『ピグマリオン』を書いた、ジョージ・バーナード・ショーの名言です。
自分はいったい何者なのか。自分の本来の姿とは――。この問いに突き当たって悩むより、人生をかけて自分を創造するのだというつもりでいるほうが、自分を理解し、また進歩させることができます。
成功とは、持っている能力を最大限利用することである。
―― ジグ・ジグラー(アメリカのモチベーション講演家、作家)
Success is the maximum utilization of the ability that you have.
―― Zig Ziglar
「モチベーションアップ」の分野に初めてスポットライトを当てた人物、ジグ・ジグラーの名言です。
能力のない人はいません。ただ、それを最大限利用していない人がいるだけです。自分の持っている能力を再確認して、それを上手に役立たせることを目標にすれば、誰もがやる気をもって取り組めます。
成功率を上げたいなら、失敗率を2倍にすることだ。
―― トーマス・J・ワトソン(インターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)社の初代社長。IBM独自の経営スタイルと企業文化を生み出し、非常に効率的な販売組織へと成長させた。)
If you want to increase your success rate, double your failure rate.
―― Thomas J. Watson
何もしなければ成功はありません。何度も挑戦するなら、失敗も増えるけれど成功のチャンスも増えます。失敗から学ぶことができれば、精度が上がり、成功はさらに近づきます。
座右の銘にしたいポジティブなことわざ(日本語と英語)
ことわざを座右の銘にしたい人に。日本語のことわざと、英語のことわざをご紹介します。
思う念力岩をも通す(おもうねんりきいわをもとおす)
とうてい無理と思われることでも、一心に念じて行えば成就する。
不可能と思われるようなことでも、一心に念じながら真剣に行うことによって可能になるという意味のことわざです。
最初から無理だとあきらめるのではなく、集中して精一杯努力することによっていい結果がもたらされるといったニュアンスで使われます。
強い意志や信念を持ってどのようなことでもやり抜きたいという人に。
学問に王道なし(がくもんにおうどうなし)
There is no royal road to learning.
学問を修めるのに簡単な方法はなく、だれであろうと苦労して習得していくほかはない。
由来:紀元前300年ごろの古代ギリシャの数学者ユークリッドの言葉から。
ユークリッドは、エジプトの都、アレキサンドリアで幾何学を教えていました。
エジプト王のプトレマイオスが、エウクレイデスに「幾何学を学ぶのに、おまえの著書『原論』を読むよりも簡単な方法はないか」と尋ねたとき、ユークリッドは「幾何学には王様のための特別な道などございません」と答えたということから。
たとえ王であっても、学問を身につけるには庶民と同様、地道に努力するしかないということです。
この場合の「王道」は、「最も標準的な方法」という意味とは区別されます。
いま何かを学んでいて、たゆみなく努力を重ねていこうとしている人には、「学問に王道なし」がよく座右の銘として選ばれているようです。
一念天に通ず(いちねんてんにつうず)
物事を成し遂げようと一心になれば、そのまごころが天に通じて、必ず成功する。
困難に思われることも、きっとできると信じて努力したい人に。
雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)
小さなことを根気よく続ければ、やがて大きなことを成し遂げられる。
由来は「漢書」枚乗伝「泰山(たいざん)の霤(りゅう)は石をも穿つ」
紀元前二世紀の中国、前漢王朝時代の枚乗(ばいじょう)が書いた文章の一節です。
泰山という山に降る雨垂れは、長い間には石にさえ穴を開ける。
=雨のしずくであっても繰り返し落ちることによって石を削っていくということから、小さな努力を根気よく続けることで、やがて成功を手にすることができるという意味のことわざです。
「点滴(てんてき)石を穿つ」ともいいます。
勉強など、毎日少しずつでも続けていきたい人に。
虎穴に入らずんば虎子を得ず(こけつにいらずんばこじをえず)
あえて身の危険を冒さなければ、大きな成果を挙げることはできない。
虎が住むほら穴に入らなければ、その中にいる虎の子を捕獲することはできないことから、大きな成果を挙げるためには、ある程度の危険やリスクを負わなければならないことのたとえです。
「虎子」はめざましい功名や手柄。
虎がその子を非常に大事に守り育てるところから、大切にして手離さないもの、秘蔵する金品などを「虎の子」といいますが、これとは区別されます。
由来は「後漢書」班超伝「官属皆曰、今在危亡之地、死生従司馬、超曰、不入虎穴、不得虎子」
官属皆曰く、「今危亡の地に在り、死生司馬に従わん」と。超曰く、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」。
配下の者たちは口々に言った、「いま我々は危急存亡の事態におちいっています。死ぬも生きるも、隊長であるあなたの命令に従います」と。班超(はんちょう)は言った、「虎穴に入らずんば虎子を得ずだ」。
漢の使者、班超(はんちょう)が西国のゼン善(ぜんぜん)へ赴いたとき、急に王の態度が冷たくなりました。匈奴(きょうど)の使者が到着し、遠くの漢よりも近くの匈奴と組むことを選んだらしい。このままでは使者全員が匈奴に引き渡されて殺されると思った班超は、この言葉を用いて部下を説き伏せ、城に火を放ち匈奴の使者を攻めて生還したことから。
英語にも Nothing venture, nothing gain.(危険を冒さなければ何も得られない)ということわざがあります。
リスクが伴うとしても、勇気を出して新しいことにチャレンジしたい人に。
Practice makes perfect.
練習が完全を生む
初めて取り組むことは、何ごとも難しいものですが、反復練習を積み、慣れるにしたがって、できなかったことができるようになっていきます。できるまで練習に励もう、という意味のことわざです。
日本語のことわざ「継続は力なり」にあたります。
Speech is silver, silence is gold.
雄弁は銀、沈黙は金
イギリスの思想家、歴史家トーマス・カーライルが広めた英語のことわざ。「話すことよりも沈黙の方が価値がある」という意味です。
After a storm comes a calm.
嵐の後には凪(なぎ)がやってくる。
嵐はいつまでも続くものではなく、いつかは終わりがやってくるのでそれを待つべきであるという意味。
嵐のような予期せぬトラブルがやってきても怖がることなく、じっと耐えて、晴れの日がやって来ることを信じましょう。
The darkest hour is just before the dawn.
もっとも暗きは夜明け前
「物事が解決する直前が、いちばん大変だ」という意味です。
今のこの状況に耐えていたら、もうすぐ状況は変わると信じて一歩一歩進んでいきたいときに。