今すぐできる3ステップで英語の長文を速読するコツ【練習問題つき】

3-know-hows-of-rapid-reading-2 英語の速読法

英語の長文を速読するための方法はいくつもありますが、通訳者養成校で教えられている速読法のうち、今すぐ試せて効果を実感できる「スラッシュリーディング」、「ブラックボックス・リーディング」、「アイ・ハンド」のコツを詳しく解説します。初級の取り組みやすいものですので、練習問題にも挑戦してみてください。

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1.意味のかたまりごとに区切って読む「スラッシュリーディング」

英語の文章を、意味のかたまりごとにスラッシュ(/)で区切りなら、前から順に読んでいきます。戻り読みをせず、スラッシュを入れると同時に意味解釈をして進みます。できれば音読をしながら練習するといいですが、黙読でも構いません。その場合は、頭の中で声を出して読んでください。

最初は3語くらいずつで区切ると分かりやすいですが、慣れたらだんだん長くしていって、10語くらいずつで区切るようにします。スラッシュを入れなくても前から読めるようになれば理想的です。

「スラッシュリーディング」の練習問題

試しに以下の英語の文章をスラッシュで区切りながら読んでみてください。

The ritual has become a regular feature on Japan’s evening news. A solemn-faced man in white shirt and dark business suit stands behind a jumble of microphones. He bows deeply from the waist. Then as the cameras continue to click, he apologizes for the trouble his company has caused. He pledges to work hard to regain the trust of the public.

区切り方についての詳しい説明と、上記の練習問題の解答は、こちらの記事にあります。
⇒ 英語速読 スラッシュリーディングの区切り方を例文と和訳で解説

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2.分からない単語を飛ばして読む「ブラックボックス・リーディング」

語彙力(単語力)は速読に欠かせないものですが、語彙力をつけるのには時間がかかります。分からない単語をなくすために覚えようとすると、きりがありません。それよりも分からない単語を飛ばして読み、今ある力で長文全体の要旨をつかめるようにすることが先決です。知らない単語や難しい表現が出てくるたびに読みがストップしてしまうと、長文を一気に読み切るという体験を得ることができません。

ボキャブラリー不足は非ネイティブにとっては当然の前提ですから、未知語は未知語のまま「ブラック・ボックス」として受け取り、その意味を全体の文脈の中で判断する、あるいは思い切って切り捨てていくという姿勢が必要です。

「ブラックボックス・リーディング」の練習問題

ただ、今まで一語一語を丁寧に読んできた身には、辞書を引かずに読み進んでいくのは難しいものなので、文中に5%程度の未知語が出てきてもなんとか読めることを実感していただくために、「ブラックボックス・リーディング」の練習問題を作りました。

次の英文を読んで全体の要旨をつかみ、伏字部分にはどのような意味の単語が入るか推測してください。

The eyes of the Happy Prince were filled with tears, and tears were running down his golden cheeks. His face was so beautiful in the moonlight that the little Swallow was filled with pity.

“Who are you?” he said.

“I am the Happy Prince.”

“Why are you weeping then?” asked the Swallow; “you have quite ■■■■■■ed(1) me.”

“When I was alive and had a human heart,” answered the statue, “I did not know what tears were, for I lived in the Palace of ■■■■■■■■■■(2) , where sorrow is not allowed to enter. In the daytime I played with my ■■■■■■■■■■(3) in the garden, and in the evening I led the dance in the ■■■■■■■■■■(4) . Round the garden ran a very ■■■■■(5) wall, but I never cared to ask what lay beyond it, everything about me was so beautiful. My ■■■■■■■■■(6) called me the Happy Prince, and happy indeed I was, if pleasure be happiness. So I lived, and so I died. And now that I am dead they have set me up here so high that I can see all the ugliness and all the misery of my city, and though my heart is made of lead yet I cannot chose but weep.”

“What! is he not ■■■■■(7) gold?” said the Swallow to himself. He was too polite to make any personal ■■■■■■■(8) out loud.

“Far away,” continued the statue in a low musical voice, “far away in a little street there is a poor house. One of the windows is open, and through it I can see a woman seated at a table. Her face is thin and ■■■■(9), and she has ■■■■■■(10), red hands, all ■■■■■ed(11) by the needle, for she is a ■■■■■■■■■■(12). She is ■■■■■■■■■ing(13) passion-flowers on a ■■■■■(14) gown for the loveliest of the Queen’s ■■■■■■■■■■■■■■■(15) to wear at the next ■■■■■■■■■■(16). In a bed in the corner of the room her little boy is lying ill. He has a fever, and is asking for oranges. His mother has nothing to give him but river water, so he is crying. Swallow, Swallow, little Swallow, will you not bring her the ruby out of my ■■■■■■■■■■(17)? My feet are fastened to this ■■■■■■■■(18) and I cannot move.”

5%の単語が分からなくても、全体の要旨はほぼきちんと理解することができたのではないでしょうか。意味の分かる単語から、「王子の像が泣いていること」「人間として生きていたときには楽しく暮らしたが、像になって町を見下ろしていると、悲惨な暮らしをする人々が見えること」「貧しい家に自分のルビーを届けてくれるよう、王子がツバメに頼んでいること」は、充分つかむことができます。

文章にはかなりの余剰部分があり、必ずしもすべての単語が分からなければ意味がとれないというわけではありません。とくに形容詞や副詞は、ほとんど無視しても構いません。名詞と動詞についても、ある単語が特定の文脈の中でどのような意味のものであるかを推測することはそう難しいことではありません。

速読の練習をするときには、このようにして分からない単語を飛ばして読むようにすると、スピードアップができます。

では、伏字になっていた部分の解答例です。

  1. drench びしょぬれにする
  2. Sans-Souci サンスーシ(宮殿) 《プロイセン王 Frederick 2 世の離宮 (1747) の称》
  3. companions 友人たち
  4. Great Hall 大広間
  5. lofty 非常に高い
  6. courtiers 廷臣たち
  7. solid めっきでない
  8. remarks 意見
  9. worn 疲れでやつれた
  10. coarse 荒れた、きめの粗い
  11. prick チクリと刺す、傷つける
  12. seamstress 針子
  13. embroider ししゅうする
  14. satin サテン
  15. maids-of-honour 侍女
  16. Court-ball 舞踏会
  17. sword-hilt 剣のつか
  18. pedestal 《胸像などの》 台座

もしこの問題で要旨がつかみにくいなら、まずは教科書や単語帳などでボキャビルしてからのほうが効率的に速読の練習ができます。
(ここで、もし必要ならば、高卒程度の文法の復習もしておくと、なお良いです)

英文はオスカー・ワイルドの “The Happy Prince” 『幸福の王子』からです。
『幸福の王子』の全訳は、青空文庫をご参照ください。上記の抜粋部分は「幸福の王子の両眼は涙でいっぱいになっていました」以下です。
⇒ 図書カード:幸福の王子

3.なぞり読み「アイ・ハンド(シングル・ライン)」

アイ・ハンド(eye-hand)というのは、英語の文章を指などでなぞりながら読むことです。重要な箇所に注目しやすくなるのに加え、手の動きにつられて読む速度も速まり、読み返しがなくなります。

まず「道具」を決めましょう。

  1. 人差し指でなぞる。本を読むときには、左手の人差し指で活字をなぞり、右手でページをめくります(左利きの人は逆)。
  2. 縦2.5cm、横15cmにカットしたしおりを活字の行に当てて使う。目に優しい色を選んで。
  3. ペンや鉛筆を逆さまに持って使う。メモを取るのにも便利。

次に、アイ・ハンドの方法です。方法は3つありますが、一番簡単な「シングル・ライン」をご紹介します。
これは最も一般的な方法で、まず1行目の最初の単語に指を置き、右へなぞります。目は指の少しだけ先を読みます。右の端まできたら指を少し浮かせ、次の行へ移ります。返り読みせず一定の速度で読むようにしましょう。

single-line

上記の「スラッシュリーディング」の練習問題を、アイ・ハンドを使って読んでみてください。この方法は、指を動かす速度をだんだん速くすることで、読むスピードを上げていくことができます。

速読の練習法

毎日300~1,000語の英文を読み、上記3つの方法を練習すると、英語の意味処理の速度が上がり、速読の感覚が身についてきます。
どれか1つだけでも効果がありますので、気になったものだけでも取り入れていただければと思います。

速読の教材

もっと練習をしたい方には、以下の書籍がおすすめです。
 
『イチから鍛える英語長文700 (CD&別冊「トレーニングブック」つき (大学受験TERIOS))』
700語前後の英語長文の問題集です。大学受験用ですが、読み上げ音声のCDつきで、構文解説や、スラッシュ訳(意味のかたまりごとの和訳)が確認できるので、基礎固めに使えます。
500語前後、300語前後のバージョンもあり。


 
『毎日の英速読 頭の中に「英文読解の回路」をつくる』
ダウンロード音声つき。1つのトピックに、全文の通し読みと、スラッシュごとに少し間の空いた読み方の2種類の音声があります。20の例文を収録。記事が面白いので続けやすい。


 
『CD付 プロ通訳強化メソッド活用 英語スラッシュ・リスニング トレーニング』
CD2枚つき。スラッシュごとに区切られた音声と和訳で、旬の話題を読み、聴くことができます。シャドーイングの練習にも。


 

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