通訳者訓練法による英語速読でwpmを大幅アップするには?

major-increase-of-wpm-in-english-reading-2英語の速読法

速読法は、通訳者養成校で広く取り入れられてきた、英語の文章を速く読むための訓練法です。

これは、通訳者を目指して勉強する人に教えられてきたというだけで、とくに才能のある人限定の方法というわけではありません。日本の中学生のレベルから、英語ネイティブの平均を超えるレベルまで、弱点を補いながら段階を追って練習していきます。

誰でも簡単に、自分の目標の速さで読める・聞けるようになるための、非常に効率の良い方法です。今までの勉強方法では伸び悩んでいるという人に、特に威力を実感していただけると思います。

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現在のWPMの測定

さて、練習に取りかかる前に、練習後と比較するため、今のあなたのリーディング・スピードを測っておきましょう。

次の英文を時間を計りながら読んで、何分何秒かかったかをメモしてください。他に読みたい文章があれば、それを使っても構いません。

固有名詞など、分からない単語は英語のままでいいので、とにかく最後まで読み切るようにします。

もしあなたが中学生・高校生なら、下記の英文ではなく、学習済みの教科書の文章で測ってください。習っていない文法の出てくる文章では、正確にリーディング・スピードが測定できないからです。

Japan’s Shohei Ohtani Makes History in All-Star Game

If you think you know who the best athlete in the world is, you may want to think again.

It could be basketball’s LeBron James, soccer’s Cristiano Ronaldo or Olympic swimmer Katie Ledecky.

But the days surrounding Major League Baseball’s All-Star Game in Denver, Colorado – played Tuesday night — demonstrated the abilities of Japan’s Shohei Ohtani.

A member of the Los Angeles Angels, Ohtani is in his fourth baseball season in the U.S. after starting his career in Japan. At the age of 27, Ohtani is the first-ever player selected to pitch and hit in an All-Star Game.

The game celebrates the best hitters and the best pitchers of the season. A pitcher starts the action in baseball by trying to throw the ball past a hitter.

On Tuesday night, Ohtani opened the game as the first hitter for the American League team. At the bottom of the inning, he pitched against hitters from the National League team.

Japan’s Shohei Ohtani Makes History in All-Star Game
https://learningenglish.voanews.com/a/japan-s-shohei-ohtani-makes-history-in-all-star-game/5964242.html

できましたか?
次の項で、現在のリーディング・スピードを計算します。

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WPMとは? WPMの求め方

WPM (複数形もWPM) は「Words Per Minute」の頭文字をとった略語で、1分あたりに読める(話せる)単語の数を表します。
「文章の単語総数 ÷ 読むのにかかった秒数 × 60」で計算します。単位は語/分。

上記の測定に使った英文は167語ですので、「167語 ÷(読むのにかかった秒数)× 60」で計算してください。
2分で読んだ人の場合、167語 ÷ 120秒 × 60 = 83wpm(83語/分)となります。

別のテキストを使った人は、Wordに貼り付けるなどして、単語総数を確認してください。

<参考>紙に印刷された文章を使った場合の単語総数の計算方法
  (1) 最初の6行の単語数を数え、6で割って1行の平均単語数を出します。
  (2) 次に全体の行数をかけて文章の単語総数を求めます。

計算ができたら、この数値を記録しておいてください。速読の練習のあとに同じレベルの文章で測って効果を実感していただくため、計算方法も保存しておくといいですね。

上記の英文はアメリカのVOAから引用しました。英語を母語としない人々に向け、平易な語彙と文法でニュースが書かれていますので、今後もwpmの測定に使うと便利です。

次に速読の目標値を設定するのですが、参考までに英語ネイティブと日本人、それぞれの平均WPMを挙げておきます。

英語ネイティブの平均WPM

Forbesの記事によると、英語ネイティブの成人の平均値は300wpm。
年齢や職業で分けたデータは、以下の通りです。

Third-grade students = 150 words per minute (wpm)
Eight grade students = 250
Average college student = 450
Average “high level exec” = 575
Average college professor = 675
Speed readers = 1,500
World speed reading champion = 4,700
Average adult: 300wpm

小学3年生 = 150wpm
中学2年生 = 250wpm
平均的な大学生 = 450wpm
平均的な重役 = 575wpm
平均的な大学教授 = 675wpm
速読のできる人 = 1,500wpm
速読の世界チャンピオン = 4,700wpm
成人の平均:300wpm

日本人の平均WPM

中学生の平均値 = 50wpm、
高校生 = 75wpm。
大学生 = 80~100wpm、
成人 = 100wpmと言われています。
比較的英語の読解力がある人は、150~200wpm。

成人平均値が英語ネイティブの3分の1ほどですが、普段、英文を読む機会が少ないのと、学校で速読を習わないので当然と割り切って、これからこの数値を上げることに集中しましょう。

速読訓練によってできるようになること

英語の理解能力が上がる

速読ができるようになると、英語の理解能力も上がるので、仕事や勉強で英語力が上がったのを実感できます。

たとえばここに、ある通訳養成校の初級クラスの生徒72人を対象に行った調査があります。ニュース記事3つをあらかじめ選び、それを時間を計りながら読んでもらい、リーディング・スピードの平均値を出したものです。理解度を測定するために、各記事ともそれぞれ5つの設問に答えてもらっています。

調査の結果は次のグラフの通りで、全体の平均値は、「リーディング・スピード103wpm、理解度71%」となっています。

reading-speed

level-of-understanding

リーディング・スピードが80wpm以下のグループは、内容の理解度も平均値を下回っていて、時間をかけて読めばよく理解できるというわけでもないことがわかります。このグループの人は1単語ずつ追っていく読み方をしていて、意味のかたまりごとの読解ができていないのが特徴です。

これに対してリーディング・スピードが120wpmを超えるグループでは平均して80%という高い理解度を示していて、リーディング・スピードが速くなるにつれて理解度も向上するという傾向が見られます。このグループの人は意味のかたまりごとの読解ができていて、読みのリズムもほぼ安定しています。

速読の練習をすると、速く正確に英文読解をする練習も積むことになるので、理解力の底上げにもなります。入試や資格試験の初めて読む問題文の中に、速読の練習中に読んだ「英単語・熟語・英文法」が多いほど、正解率もアップ。リスニング問題も、選択肢を速く正確に読めれば、得点率が上がります。

また、仕事や授業に必要な資料を大量に速く読めるので、調べ物の質が上がり、時間短縮も。
英語力を伸ばすための多読も、効率的にできるようになります。

リスニングの力も上がる

また、速読はリスニングの強化にも使えます。速読訓練によって英文の意味を理解するための情報処理スピードを上げると、早口の英語を聞き取ることもできるようになります。

たとえば英語のニュース記事を100wpmで読んでいる人が、同じ内容の英語ニュース放送を聞いても、すべては聞き取れません。標準的な英語ニュース放送のキャスターが話すスピードはおよそ140~180wpmですから、1分間あたり40~80語の情報が未処理のまま消えてしまうためです。

この人がもし180wpmで読めるようになれば、ニュース放送のスピードに対応できるようになるというわけです。

速読ができるようになれば、学校の試験や入試、資格試験のリスニングの点数も伸ばせます。

目標WPMの設定

さて、問題はどれくらいのリーディング・スピードを目標に速読の練習をしていけばいいかということになりますが、まずは上記の日本人の平均値100wpmを目指すとか、勉強中の試験で求められる速度を目指すという人が多いのではないでしょうか。

特にないという場合には、180wpmくらいを目標にすることをおすすめします。ニュース放送が聞けるくらいあると、ニュース・映画・ドラマなど、耳から入ってくる英語から、単語や表現をどんどん覚えていけるので、英語力の伸び方が急激に上がるからです。

大学入試・共通テスト

全問を読んで全問を解けるスピード、120wpmくらいを目標に。

また、難関・中堅私大「産近甲龍」「関関同立」合格には、文章の内容がより高度になり、記述問題も複雑な為、解くための時間を確保しなければなりませんから、150wpmくらいが必要になります。

TOEIC

TOEICを受験する人の場合、リーディング・セクションを時間内に解き終えるには150wpm以上必要と言われています。
ただ、150wpmではほとんど読み返す時間はないので、満点を狙うなら200wpmあると、5分くらい残して解き終え、見直しもできます。
また、リスニング・セクションの話者のスピードは140wpm~200wpmですので、やはり200wpmあると万全です。

英検

英検はTOEICと比べて時間的な余裕のある試験です。問題文を読む時間4割、解く時間6割として、120wpm以上必要と言われています。

リスニング問題の級ごとの放送スピードは、次のようになっています。
1級 = 135〜170wpm
準1級 = 135〜145wpm
2級 = 135〜145wpm
準2級 = 125〜135wpm
3級 = 120〜130wpm

リスニングで高得点を取るには、それぞれの上限のスピード(2級なら145wpm)を目標にするといいでしょう。

英語ニュース

英語ニュースを聞き取れるようになるには、前述のように、180wpmが必要になります。

英語ネイティブとの会議・商談

ネイティブと対等に会議や商談をするには、やはりネイティブ・スピーカー平均の300wpmが必要になるでしょう。

このほか特に目標がある場合は、英語ネイティブの値を参考に決めてください。

WPMを上げる方法

目標レベルに応じて、いくつかのテクニックを一つずつ確実に身につけていきます。
主なテクニックには、以下のものがあります。

スラッシュリーディング
スキミング
理解領域を広げる
アイ・フォーカス
アイ・ハンド(シングル・ライン/センター・メソッド/ダブル・ライン)

200wpmくらいまでなら、スラッシュリーディングだけでも到達できます。
長くなりましたので、次回、スラッシュリーディングについて詳しく解説します。↓

<参考>
高校生向け
『大学入試 英語長文ハイパートレーニングレベル2 標準編 新々装版』
解説が詳しく、一人で勉強するのにぴったり。音源を聞くことで、頭の中でどう読むのかが分かり、音読の練習もできます。最初の英文が一番難しいので、これは最後に回し、2番目の英文から読むといいかも。


 
高校生向け
『イチから鍛える英語長文700 (CD&別冊「トレーニングブック」つき (大学受験TERIOS))』
700語前後の英語長文の問題集です。大学受験用ですが、読み上げ音声のCDつきで、構文解説や、スラッシュ訳(意味のかたまりごとの和訳)が確認できるので、基礎固めに使えます。
500語前後、300語前後のバージョンもあり。


 
社会人向け
『CD付 プロ通訳強化メソッド活用 英語スラッシュ・リスニング トレーニング』
CD2枚つき。スラッシュごとに区切られた音声と和訳で、旬の話題を読み、聴くことができます。シャドーイングの練習にも。


 
社会人向け
『改訂新版 2週間で英語の読解スピードが3倍になる本』
解説の後、10問の練習問題を解いて短期間でスピードアップできます。


 

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